グリーフケアとは?

グリーフケアという言葉をご存知でしょうか?
グリーフとは直訳すると“深い悲しみ”“苦悩”を意味します。ケアは“助ける”や“支援する”という意味があります。つまり、グリーフケアとは、近しい人や大切な人を失って深い悲しみの中にいる人が、その悲しみを一緒に乗り越えて立ち直れるように、寄り添いサポートしていくことを意味します。そして、自分自身を大切にすることを無理なく悲しみと向き合い、語り合うこともグリーフケアとなります。

大切な人を失った悲しみは簡単に癒せるものではありません。近年は、“死”に接する機会が減ってきており、人との繋がりの気薄化、宗教離れ等も進んでいます。大切な人を失ったときの悲しみは深く複雑なものになります。社会的繋がりが薄い現代、周囲から十分なサポート、悲しみに寄り添う存在の人が得られにくくなりました。
そのため、今の社会では、遺族が精神的、社会的に孤立しないように専門的知識をもった人が悲嘆ケア行うグリーフケアの必要性が徐々に増えています。

グリーフケアの目的は、悲しみを乗り越え、立ち直るためのサポートをすることです。単に悲しみを忘れさせるのではなく、悲しみのプロセスを健康的にたどり、やがてその悲しみと共存しながら、前向きに生きていけるようになることを目指します。

なぜグリーフケアが必要なのか
大切な人を亡くした悲しみは、単なる精神的なつらさだけではありません。以下のような心身の不調を引き起こすことがあります。

 * 精神的な影響: 抑うつ状態、不安感、無力感、集中力の低下、故人への後悔や自責の念、怒りなど。
 * 身体的な影響: 睡眠障害、食欲不振、頭痛、動悸、倦怠感など。
 * 社会的な影響: 引きこもり、孤立、人間関係の再構築が難しいなど。

これらの症状が長期化すると、うつ病などの精神疾患につながる可能性もあります。グリーフケアは、このような心身の不調を防ぎ、遺族が再び社会生活を送れるように支援する上で非常に重要です。
 
グリーフケアの対象
グリーフケアは、大切な人を亡くした遺族だけでなく、以下のような人々も対象となります。
 * 家族、友人、恋人など、近しい人を亡くした人。
 * ペットを亡くした人(ペットロス)。
 * 離婚や失業、災害による喪失など、人生における大きな喪失体験をした人。

グリーフケアは、悲しみを「克服」するのではなく、「向き合いながら」生きていくための力を育む、大切な心のサポートです。

福龍寺の遺族会の特徴

お寺は故人を供養する場所であると同時に、残された遺族の方々の心のケアを担う場所でもあります。

 * 特定の宗派や檀家に限らず、誰でも参加できます。
 * 専門的な知識を持つ僧侶や臨床傾聴師が同席し、参加者の話に耳を傾け、見守る役割を担います。
 * 必ずしも仏教的な教えを説くわけではなく、参加者が安心して話せる環境を提供することを重視しています。
 * 自死遺族など、特定の事情で大切な人を亡くした方々のための集まりもあります。
 * 遺族同士が交流する場にもなり、お寺を身近に感じてもらう機会となります。
 * 「自分だけではない」という安心感: 自分のつらさや悩みが、他の人も感じているものだと知ることで、孤独感が和らぎます。
 * 共感と理解: 周囲の人には言いにくい感情も、遺族会では受け入れてもらえます。誰かに話を聞いてもらうだけでも、心の負担が軽くなります
 * 参加は自由です。

大切な人を亡くした悲しみを抱える人々が、同じような経験を持つ人々と出会い、話すことで、孤独感を和らげ、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していくための大切な場所となっています。

福龍寺の取り組み

日常生活に新しい視点や活動を取り入れるきっかけをみんなで考えます。
遺族会は、ただ悲しみを分かち合うだけでなく、一歩を踏み出すきっかけを作りたいと考えています。
 * 趣味やレクリエーション: ハイキングや食事会、旅行など、故人との思い出を大切にしなが新しい楽しみを見つける場となります。
 * 学びの機会: グリーフケアに関する専門家の話を聞いたり、仏教の教えに触れたりすることで、死や供養に対する考え方が変わり、心の整理につながることがあります。
3. 故人とのつながりを感じられること。
 * 合同法要: 同じ場所で供養される故人の遺族が集まることで、故人を偲び、供養する気持ちを共有できます。

遺族会に参加することで、悲しみがなくなるわけではありません。しかし、同じ境遇の人々と出会い、支え合う中で、悲しみと向き合いながらも、少しずつ前を向いて歩いていくための力を見出せるようになるのです。
遺族会が「前向きになる」場所であるためには、「心の回復を焦らせない」「無理なく自分のペースで参加できる」「安心して話せる」といった場を作ることを大切にしています。